1837年, A 沖に来航したアメリカ商船モリソン号が,江戸幕府から相模の海岸防備を担わされていた B 藩などによって,砲撃されるという事件が起こった。砲撃は, C 令のもとで, A 奉行の命により実行されたものであった。
以下の史料は,この事件の翌年に,モリソン号が再来するとの情報に接した史料の筆者が,夢の中での問答という形式で,その対応策について論じたものである。ここでは,モリソン号は,「イギリス船」と認識されている。
甲の人曰,「然らば如何取扱仕(つかまつ)るべく候哉。」
乙の人曰,「先ず只今イギリス人の底意は兎(と)も角(かく)も,彼(かれ)仁義を唱へ,漂流人を送来り候へば,江戸近海は御要害の地にて,着岸御免成られ難く候へば,長崎なりとも,何方なりとも,着岸御免仰付けられ,右漂流人御請取遊ばされ,右の御挨拶として,厚く御褒美御恵み下し置かれ,先ず第一愚案には,当時和蘭(オランダ)人は,外国の耳目官仰付けられ候aへども,彼等は支那・韃靼(だったん)・天竺,其外諸邦に通商仕り・・・。」
(史料は,一部書き改めたところがある。)
「乙の人」は,続く部分で,オランダばかりに情報を依存するのではなく,イギリス人が来日した際には,イギリス人からも情報を得て,その見返りとして貿易をおこなうべきだなどと述べている。史料の筆者は,モリソン号への幕府の対応を批判したこの著述により,処罰されたb。
その後,幕府は海防強化のため, B 藩の財政を援助する目的で,1840年に B 藩を含む3藩の領知を相互に入れ替えようとした。しかし,これは,領民の反対などにより,撤回を余儀なくされた。
〔設 問〕
(7) この史料の書名を,漢字で答えなさい。
戊戌夢物語
(8) 空欄 A に入る語を,漢字で答えなさい。
浦賀
(9) 空欄 B に入る語を,漢字で答えなさい。
川越藩 「三方領知替え」は、やや難
(10) 空欄 C に入る語を,漢字で答えなさい。
異国船打払
(11) 下線部aについて,これにより作成された文書の名称を,答えなさい。
オランダ風説書
(12) 下線部bについて,この事件の名称を,答えなさい。
蛮社の獄
☆吉田の視点
南山大では、記述式問題の中で史料文の読み取りが必要な問題が頻出します。本問では(11)の問題がこれに相当しますが、ちゃんと史料文からオランダ風説書を想起できましたか? このような史料問題は、史料問題慣れのための集中演習がとても効果的です。演習不足だと試験本番で「想起」できない受験生が多いので吉田塾では直前期に南山大の史料問題対策を行なっています。なお、本問と連動した「南山大の日本史」(特別授業映像)を公開していますので本テーマを「効率的にまとめて覚える」参考にしてください。
8世紀末,平安京の中心を南北に貫く広大な通りである A を挟んで,官立寺院である東寺と西寺が建立された。 B から空海に下賜された東寺には,空海没後に五重塔が創建された。この塔は,南から都に上ってきた旅人の目に最初に映ったことであろう。数度の焼失を経て,江戸時代に再建された五重塔は,現存する木造の塔としては日本一の高さを誇る。
塔は,次第に権力の象徴としての意味も併せもつようになった。摂関期に権勢を極めた藤原道長は,自らの邸宅である土御門殿の東に C 寺を建立し,そこに本薬師寺から大塔を移して誇示した。仏教を篤く信仰した白河上皇は,紀伊の D 山や E 三山に幾度も参詣したほか,白河に作らせた「国王の氏寺」と称される寺に八角九重塔を設け,院の権威を示した。
室町時代,「花の御所」をつくった足利義満は,その隣に相国寺を建立し,そこに六角七重の大塔を建てた。現在の京都タワーにも匹敵する高さ360尺の大塔は,わずか4年で落雷により焼失したが,のちに再建され,そこからの眺望について,相国寺の鹿苑院主aであった瑞渓周鳳が漢詩に詠んでいる。また,京の景観を描いた F 屏風のうち,現存する最も古いものは,この大塔から見た景色を参考にして描かれたものらしい。高い建築物がほとんどなかった時代に,京の内外を一望のもとに見渡せる大塔からの眺めは,特別なものであったに違いない。
〔設 問〕
(1) 空欄 A に入る語を,漢字で答えなさい。
朱雀大路
(2) 空欄 B に入る語を,漢字で答えなさい。
嵯峨天皇
(3) 空欄 C に入る語を,漢字で答えなさい。
法成寺
(4) 空欄 D および E に入る語を,漢字で答えなさい。
高野(山)、熊野(三山)
(5) 下線部aは,五山十刹以下の禅宗寺院を統括し,その人事を司る役職も兼ねた。この役職を何というか,漢字2字で答えなさい。
僧禄
(6) 空欄 F に入る語を,漢字5字で答えなさい。
洛中洛外図
☆吉田の視点
南山大では、本問のような本格的な文化史の問題が繰り返し出題されています。日本史が苦手な受験生は、政治史を全範囲仕上げるだけでいっぱい・いっぱいになって文化史がとても手薄になっている人が多いのが現実でしょう。吉田塾では、そのような受験生を救済するための「文化史」特講(文化史の基礎から南山大レベルまでをカバー)を毎年、冬期講習や南山大直前講座で開講しています。その一部は、無料のお試し講座(1対1のZoom講座)で体験可能となっています。
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