11:15 上海の中心街までは地下鉄が安くて便利なのだが、今回は「磁浮」に乗ることにした。「磁浮」とは文字通り「磁石で浮く」日本で言うところの「リニヤカー」ことである。走行距離は短いし多分に見世物的要素が強い乗り物だが、新幹線より早い「時速400㎞」を体感できる。という訳で浦東空港-龍陽路まで8分で着く。ただし、運賃は50元(約900円)かかる。龍陽路から中心地の静安寺までは地下鉄(4元=約70円)を利用する。
13:00 静安寺駅から南京西路近くにある上海雑技団公演をやっている上海商城劇院を「地球の歩き方」片手に探し歩いているとスマートな都会派&インテリオーラを出している青年が親切に方角を教えてくれた。その方角に少し歩くと先ほどの青年が戻ってきて、iPhoneの地図でさらに詳しく教えてくれた。さっきの説明だけでは正確にたどりつけるか心配だったのだろう。わざわざ、引き返してくれるなんてとても親切な好青年である。上海は中国一の国際都市であり中国人の所得も高い。そのような背景もあり、以後「民度の高さ」をいろいろと実感する。この旅で上海好きになってしまった。上海商城劇院で19:30開演のチケットを購入(300元=5400円)して近くのマクドナルドで昼食をとる。
14:30 上海雑技団公演までの時間を使ってタクシーで魯迅公園へ(28元=500円)。しかし、魯迅公園はなぜか休園日であった。中国人観光客もなぜなんだと怪訝な態度をとっていた。仕方なく、歩いて魯迅故居へ。魯迅が最晩年の3年を過ごした虹口区山陰路132弄9号は寝室兼書斎、応接間などが当時のままの姿で保存されていて8元で見学できた。
ここで受験(とくに大学受験世界史)に使える魯迅と周辺関連事項をチェック!
20世紀に入ると中国では、北京大学(学長は蔡元培)で文学革命(1915年)が起こり、雑誌『新青年』(陳独秀発行:彼は1921年中国共産党も立ち上げている)が発行され、「民主と科学」をスローガンに掲げ、旧体制(儒教的思想)を批判、胡適が『文学改良芻義』を発表し白話文学運動(口語体で文学を表現する運動)を提唱した。この流れを受けて、魯迅は、1918年最初の白話文学として『狂人日記』を発表した。また、彼は1921年には『阿Q正伝』を発表している。
とくに陳独秀・胡適・魯迅は超頻出人物なのでこの三人を中心に関連事項を世界史受験者はおさえてください。
ところで白話文学運動に関連して、日本の方が同じような運動を中国より早くやってるよね。そう!言文一致体運動のことです。写実主義の坪内逍遥・二葉亭四迷・尾崎紅葉などもこの際つなげて覚えておくと効率的です。
魯迅故居から歩いて内山書店(内山完造)跡へ。成田さんは内山書店に対する思い入れは相当であったので私も興味をもつ。内山書店跡は、現在銀行になっていたが、何と銀行内の二階が資料館になっていて無料公開されていた。
日本語の説明もあった。
「内山書店は日本の友人内山完造によって1917年に創設され、晩年の魯迅
が上海でよく通った場所である。彼は当局に秘密手配された時、そこで1ヶ月
ほど非難生活を送り、内山完造との親交が深まった。内山書店は左翼的な書籍
を販売し、漫談会を開き、左翼文化活動を推し進めていた。」
このように中国では、内山完造のことを「日本の友人」と紹介しているのだ。