早大の社会科学部は、大問4つで合計40問(全問マーク式)の出題が続いている。
最大の特徴は、2018年では40問中35問が正文誤文判定問題となっており、他学部に比べて出題率が際立っている。
また、一般の受験生(早稲田対策をしてない人・過去問研究を怠っている人)にとっては正誤判定が困難であろう問題が多く出題される。
上記の傾向を把握(実感)するためにも、今ここで2018年2月(最新の過去問)を解いてみよう!
「敵を知る(相手を知る)」ことで、今の自分を知ることができるのです。
早稲田合格は、「相手を知る」ことから始まります!
なお、本問は早大商学部においても超頻出する分野(出題形式も!)なので商学部志望の人も真剣に解いてください。
2018年2月 社会科学部 大問2 解答と簡単な解説付き
次の文章を読み,問1~10に答えよ。
平城京に官営の市が設けられた頃,(1)和同開珎が発行されたが,乾元大宝を最後に国家による貨幣発行は中断する。宋銭が流入し,取引が活発化すると,貨幣流通量は増加した。他方,生産や流通の急激な発達に対応できない(2)一部の人々の生活は窮乏し,不満の声が上がった。明銭の流通がはじまるが,貨幣需要を満たすことはできず,(3)貨幣不足が問題化した。
全国共通貨幣の安定供給が必要となり,江戸幕府は(4)貨幣の鋳造・流通に乗り出す。綱吉の時代以降,金銀の産出量減少,明暦の大火の影響で財政状況が急激に悪化したため,(5)幕府は対策を講じた。日米修好通商条約調印後,貿易の活発化により,(6)輸出超過となり,物価の上昇を招いた。
太政官札発行,新貨条例制定など貨幣関連制度の整備が進むと,紙幣中心の時代に移行していく。その後,戦費調達目的の紙幣増発によるインフレーション対策として松方財政が実施されると,景気状況はデフレーションに転じる。
第一次世界大戦により,大戦景気が起こり,輸出超過となる。しかし,終結後,軍需低下,アジアへのヨーロッパ諸国の商品流入,株価暴落などにより,(7)戦後恐慌・金融恐慌に陥り,関東大震災により状況はさらに悪化した。政府は,インフレ対策として財政圧縮政策を実施し,金輸出を解禁したが,ニューヨーク市場の株価大暴落に端を発した世界恐慌により日本経済は深刻な打撃を受け,金輸出は再び禁止された。
第二次世界大戦後,極度の物不足と通貨増発のため,急激なインフレが発生した。(8)諸政策が実施され,インフレは鎮静化したものの,不況が深刻化する。
1950年代,(9)特需景気を経て高度経済成長時代に入る。1970年代になると,列島改造政策,公共投資拡大,第一次石油危機による原油価格の急騰などから,狂乱物価とも称されるインフレが起こった。金融引き締め政策により,スタグフレーションに陥り,戦後はじめてのマイナス成長となったため,景気刺激策が実施された。1980年代後半(10)バブル時代に突入,後にバブルは崩壊し,平成不況の時代が続くこととなった。
問1 下線部(1)に関連する記述として,不適切なものはどれか。2つ選べ。
イ 唐の開元通宝にならったものである。
ロ 都の造営のために雇われた者に支給された。
ハ 流通促進のため,蓄銭叙位令が発せられた。
ニ 近畿地方以外ではほとんど出土していない。
ホ 調の貢納に用いることはできなかった。
問2 下線部(2)に関連して,当時の状況に関する記述として,不適切なものはどれか。2つ選べ。
イ 御家人は定期的な番役を義務づけられた。
ロ 幕府の救済対象は御家人だった。
ハ 御家人の金銭訴訟は禁止された。
ニ 永仁の徳政令は2年後に撤回された。
ホ 土地細分化回避のため単独相続が行われた。
問3 下線部(3)に関連する記述として,不適切なものはどれか。2つ選べ。
イ 宋銭はほとんど使われなくなった。
ロ 西日本では米や銀も貨幣として使用された。
ハ 明銭では永楽通宝が最も多く流通した。
ニ 悪銭を禁止し,良銭の流通を強制した。
ホ 貨幣不足を補うために割符が使われた。
問4 下線部(4)に関連する記述として,不適切なものはどれか。2つ選べ。
イ 両替商は三貨の両替だけを行った。
ロ 三貨の交換率は相場状況で変動した。
ハ 計数貨幣の小判・丁銀・一分金を発行した。
ニ 両・分・朱は4進法で換算された。
ホ 西日本ではおもに銀貨が流通した。
問5 下線部(5)に関連する記述として,不適切なものはどれか。2つ選べ。
イ 三貨の交換比率を固定化した。
ロ 朝鮮の通信使の待遇を簡素化した。
ハ 長崎貿易による金・銀の流出を制限した。
ニ 金含有率を引き下げた正徳小判を発行した。
ホ 富士山噴火の被災地復興のため,国役金を徴収した。
問6 下線部(6)に関連する記述として,不適切なものはどれか。2つ選べ。
イ 輸出入にはおもに金貨が用いられた。
ロ 最大の取引先はイギリスだった。
ハ 10万両以上の金貨が流出した。
ニ 特定5品は江戸の問屋経由の輸出を命じた。
ホ 金含有率を引き下げた万延小判を発行した。
問7 下線部(7)に関連する記述として,不適切なものはどれか。2つ選べ。
イ 震災手形対策の特別融資を行った。
ロ 紡績会社は中国の工場を次々に閉鎖した。
ハ 日本銀行券を増発した。
ニ 緊急勅令で台湾銀行を救済した。
ホ 裏白紙幣を発行した。
問8 下線部(8)に関連する記述として,不適切なものはどれか。2つ選べ。
イ 旧紙幣の流通を禁止した。
ロ 企業分割制限を強化した。
ハ 幣原内閣は経済安定本部を設置した。
ニ 有沢広巳の提唱した傾斜生産方式を実施した。
ホ 富裕者に財産税を課した。
問9 下線部(9)に関連する記述として,不適切なものはどれか。2つ選べ。
イ 1950年6月~1956年6月の物資契約高1位は兵器だった。
ロ 神武景気の期間に日本の造船量は世界1位となった。
ハ 岩戸景気の期間に所得倍増政策が発表された。
ニ オリンピック景気の期間に公害対策基本法が制定された。
ホ いざなぎ景気の期間にOECDに加盟した。
問10 下線部(10)に関連して,この時代の出来事として,不適切なものはどれか。2つ選べ。
イ 日本労働組合総連合会が結成された。
ロ 海外渡航者数が1,000万人を突破した。
ハ 非自民連立内閣が成立した。
ニ PKO協力法が成立した。
ホ 消費税が実施された。
解答
問1 ニとホ(畿内以外でも各地で出土している。調の貢納に用いられた。)
問2 ハとニ(永仁の徳政令は、2年後ではなく翌年!所領の無償返還を除きすべて撤回されてる。)
問3 イとホを正解と推定されるが、作問ミスとして全員正解となった。
問4 イとハ
問5 イとニ
問6 イとホ(イは金貨ではなく銀貨。ホは金含有率ではなく含有量)
問7 ロとニ
問8 イとハ(イは「制限を強化」という部分が誤り。ハは幣原内閣ではなく一次吉田茂内閣)
問9 ニとホ(本問は戦後の重要事項の正確な年代把握が早稲田では必要であることを示す良問である)
問10 ハとニ(バブル時代は1986年から1990年。ハは1993年、ニは1992年)
上記の問題で「2つ」選べとなっている問題は、2つとも正解でなければ得点できないので要注意である。
早稲田合格のための「戦略的かつ効率的」な対策を行う観点からすると
社会科学部を第一志望とする人は、同じく全問マーク式の人間科学部との併願が効果的である。
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