「一生役に立つ」戦略的な思考力を養う日本史の実践道場

京大の傾向と対策

京大の日本史(傾向と対策:過去問研究編)

①100点満点で記述式(70点)・論述式(30点)の配点となっている。

②本学の受験生レベルからすれば、記述式の問題(70点分)はかなりの高得点が必要となるが、例年最初の大問Ⅰ(20問・20点)は史料問題が3題出題されておりここで思いのほか差がつく場合がある。本格的な史料問題対策をやっていたら解けるが、ちゃんとやってない人だとたくさん失点してしまう。そのような問題がある程度の分量出題される年には、合否をも左右する場面があります。そういう場面をイメージしやすい問題を掲載してありますので、ぜひ一題は解いて実感してください。

③論述形式の問題は、例年200字論述が2題出題(各15点配点)される。問題のレベルは東大や一橋大に比べるとはっきり言ってやさしい。しっかり対策を立てれば高得点も可能であるが、ちゃんと本格的な論述問題対策をやっていないと得点化できず、差が開いてしまうのでしっかり取り組んで本番を迎えてほしい。

☆それでは、合格点をとるためのキーとなる史料問題や論述問題を見てみよう。

受験の鉄則はまず「敵(京大の問題)を知り、己(今の自分)を知ること」だ!

1 京大の史料問題を知る!

2018年 大問1のA

言上

条々

一 朝務等の事

右,先規を守り,ことに ア を施さるべく候。但し,諸国の(a)受領等,もっとも計らい御沙汰あるべく候か。(b)東国・北国両道の国々,謀反を追討するの間,土民なきが如し。今春より,浪人ら旧里に帰住し,安堵せしむべく候。しからば,来秋のころ,国司を任ぜられ,(c)吏務を行われてよろしかるべく候。

一 平家追討の事

右,(d)畿内近国,源氏・平氏と号して弓箭に携わるの輩ならびに住人等, イ の下知に任せて,引率すべきの由,仰せ下さるべく候。海路たやすからずといえども,ことに急ぎ追討すべきの由, イ に仰するところ也。(e)勲功賞においては,その後頼朝計らい申し上ぐべく候

(中略)

()寿永三年二月

源頼朝

(『吾妻鏡』)

(注) 寿永三年は1184年である。

 

(1)  ア には,優れた政治,過去の優れた時代に戻ることを意味する語句が入る。漢字2字で記せ。
正解を表示する徳政
 

(2) 下線部(a)の「受領」には,この当時,一国の支配を委ねられた有力者の関係者が任命されることがあった。特定の国の支配を有力者に委ねる制度を何と呼ぶか。
正解を表示する知行国の制度(京大論述でも出題される可能性あり)
 

(3) 下線部(b)の「東国・北国両道」とは,令制で規定された七道のうち,源義仲が基盤とした2つの道を指す。その名称を2つとも記せ。
正解を表示する東山道,北陸道(「寿永二年十月宣旨」の内容や背景もヒントになる)
 

(4) 下線部(c)の「吏務」とは国司の任務を指す。具体的にはどのようなことか。漢字2字で記せ。
正解を表示する徴税(国司の「徴税」請負人化を想起しよう!)
 

(5) 下線部(d)に記されたような者は,平安後期から鎌倉前期にかけて,多数存在していた。これに当てはまる人物を次の①~⑤のうちから1つ選び,番号で答えよ。
① 源頼家
② 平頼綱
③ 源頼政
④ 平忠常
⑤ 源高明
正解を表示する③(下線部bをしっかり読めば消去法でも解ける)
 

(6)  イ に当てはまる武将は,後に頼朝と対立し,陸奥国で殺害される。その武将とは誰か。
正解を表示する源義経(寿永三年=1184年の状況を想起しよう)
 

(7) 下線部(e)について,頼朝が朝廷に対し「計らい申し上」げるとした「勲功賞」とは,具体的にどのようなものか。漢字2字で記せ。
正解を表示する恩賞

☆本問を苦手とする受験生は、かなり多く存在する。しかし、史料全体をよく読めば解答に至るヒントがたくさん存在することに気づくのだが、どうだろうか? 吉田塾では、本問を解く重要な手がかりとなる「寿永二年十月宣旨」を予想史料文として講義を行っていたため、本番では史料の背景がすぐに見えた塾生がほとんであった。

なお、本問のような問題に対応するためには、どうしたら良いかがわかるミニ講座(無料)を吉田塾では、本気で京大合格をめざす受験生に対しては啓蒙活動の一環として開催しています。

 

2017年 大問1のA

二十日(中略)(注)頭弁経通([藤原])(中略)また云わく, ア 国(a)百姓,公門に立ちて訴訟す。しかるに国司,騎馬兵をもって追捕す。百姓,(b)左衛門陣に来りて呼言を放てりと云々。

二十一日(中略) ア 守頼任([藤原])来りて云わく,公門に立つるの百姓を搦(から)めしむるに依り,(c)入道殿(d)摂政殿(注)勘当殊に重し。是れ慮外の事なり。

(『小右記』寛仁3年(1019)6月条)

(注) 「頭弁経通」は蔵人頭・左中弁藤原経通のこと,「勘当」はお叱りのこと。

 

(1)  ア は山城国から山陰道に入った最初の国である。その国名を記せ。
正解を表示する 丹波(京大らしい歴史地理的な問題)
 

(2) 下線部(a)の「百姓,公門に立ちて訴訟す」は,諸国の百姓が受領の圧政を上訴するため上京し,公門に立つことである。強欲な受領の典型で,「受領は倒るる所に土をつかめ」と言い放ったとされるのは誰か。
正解を表示する藤原陳忠(いかにも京大が記述させそうな人物だ)
 

(3) 下線部(b)の「左衛門陣」は,内裏を守った左衛門府の陣である。このころ,内裏内で天皇が主に生活した建物の名称を記せ。
正解を表示する清涼殿(受験生にとっては盲点といえる問題)
 

(4) 下線部(c)の「入道殿」と下線部(d)の「摂政殿」は父と息子である。「入道殿」の日記の名称を記せ。
正解を表示する御堂関白記
 

(5) 下線部(d)の「摂政殿」が宇治に建てた寺院の名称を記せ。
正解を表示する平等院
 

(6) 史料Aには,百姓が受領の圧政を上訴することに対する,入道殿や摂政殿の考えがうかがえる。次の①~④から,史料Aの説明として正しいものをすべて選んで記せ。
① 入道殿や摂政殿は,受領が圧政を上訴する百姓を追捕することを認めていた。
② 入道殿や摂政殿は,受領が圧政を上訴する百姓を追捕することを認めていなかった。
③ 入道殿や摂政殿は,百姓が公門に立って受領の圧政を上訴することを認めていた。
④ 入道殿や摂政殿は,百姓が公門に立って受領の圧政を上訴することを認めていなかった。
正解を表示する②,③
 

(7) 史料Aの出来事と同じ年に,九州北部が大規模な海賊に襲われた。この事件を何と呼ぶか。
正解を表示する刀伊の入寇(京大対策の中で重要な視点として、時代感覚=重要年代!があることを把握してますか?)

☆本問は、京大史料対策をしっかりやった人ならば高得点も可能な問題であるが、京大用の史料対策をちゃんとしてないと意外と点数が伸びない人がいる。君はどちらのタイプだろうか?例えば、京大では、歴史地理的な視点で日本史をみる姿勢を問う問題が出題されることがあげられる。この傾向を意識した学習を行っていれば、2018年の問題(東山道、北陸道)や本問の(1) 丹波などの問題にも対応できる。
吉田塾では、このような京大日本史への対応力を効率的に自然と身につく指導を行っている。

2019年 大問1のC

(注)華翰(かかん)敬読。(j)勅諭改正案御送付拝承。簡短にして主義明瞭,尤(もつと)も妙と存じ候(そうろう)。末文に,一国の独立を維持するは(k)陸海軍備に基因す,幸いに(l)目下東洋無事,隣国の関係親密云々の旨趣を一語相加え,なお一案を煩(わずら)わせたく,希望にたえず候。(中略)今に(m)予算結了に到らざる趣,誠に困り入り候,(注)余事後鴻(こうこう)に譲る。
草々頓首
九月二十三日早天

 エ

井上顧問官殿

(1890年9月23日付井上毅あて書簡)

(注)
「華翰」は,貴方からの書簡。
「余事後鴻に譲る」は,残りの事柄はまた後日お便りします,という意味。


(13) 下線部(j)の「勅諭」は,この史料の時期にはまだ作成中であった教育勅語を指すと推定される。こうした天皇の公的な意思を示す文書(詔勅)は,国民へ向けて折々発せられたが,それに関して,

(あ) 日露戦争後に出された戊申詔書をうけて,町村財政の立て直しなどをはかった地方改良運動が本格化した。この運動を推進した,地方行政や警察などを統轄した省はどこか。
正解を表示する内務省
 

(い) 1923年の「国民精神作興ニ関スル詔書」は,同年9月に起こった大規模な災害を契機に出された。その災害を何というか。
正解を表示する関東大震災(重要年代1923年!)
 

(14) 下線部(k)の「陸海軍備」の兵力量決定権は,帝国憲法では天皇大権に属すると定められた。同じく天皇大権の1つで,陸軍省・海軍省からも独立した,軍隊を指揮する権限をとくに何というか。
正解を表示する統帥権(明治憲法11条)
 

(15) 下線部(l)で示される情勢認識の背景には,1885年以来,日清両国の間で結ばれていた条約がある。その条約の主要な内容を2つ記せ。
正解を表示する日清両軍の朝鮮からの撤退,朝鮮出兵時における相互の事前通告(1885年 天津条約の内容だ!)
 

(16) 下線部(m)のように,難産の末決定された政府の次年度予算案であったが,第1回帝国議会ではこれをめぐって政府と民党とが対立した。この際,民党が政府に訴えた要求は何であったか。簡潔に記せ。
正解を表示する民力休養と政費節減(具体的には地租軽減と行政費の節約をさす)
 

(17)  エ には,この書簡の差出人である,当時の首相の名前が入る。その氏名を記せ。
正解を表示する山県有朋

☆本問は、ごく標準的な問題であるので完答も十分可能である。(15)の短文記述はズバリ答えることができただろうか?
吉田塾では、吉田の板書ノートでいっしょに書いて「京大の短文記述」向きだ!との指摘を必ず行うところなので「ズバリ答える」ことができたようだ。

2 京大の論述問題を知る!

2019年2月 本試験問題

次の問(1),(2)について,それぞれ200字以内で解答せよ。解答はいずれも所定の解答欄に記入せよ。句読点も字数に含めよ。

(1) 執権政治の確立過程において,北条時政・義時が果たした役割を説明せよ。

(2) 近世の石高制の成立過程,および,石高制に基づく大名統制と百姓支配について述べよ。

☆(1)の問題は、一見簡単な問題のように見えるが時政・義時が果たした役割を明確に指摘した文になるように200字以内でまとめるのに苦労した受験生が多かったようだ。それなりの点は確保できるが、ハイスコアーを取るには訓練が必要な問題と言えよう。
(2)の問題は、「太閤検地」の歴史的意義の関連問題として出題がかなり予想された論述のテーマであった。吉田塾でも、毎年予想テーマ(予想問題)として、「京大のための日本史論述」講座で扱っていたテーマであったので吉田の板書(論述チャート)だけで、ハイスコアーが可能な問題と言える。

吉田塾では、上記のような「京大の日本史」を攻略するための「戦略的かつ効率的」な指導を行っています。

さらに「京大の日本史」を攻略するための詳しい内容を知りたい人は、「吉田塾とは何か」や「塾長 吉田健志のプロフィール」をよく読んで頂き、自身の合格戦略に合うとの手ごたえを感じたら、ぜひお問合せください!
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一橋大学社会学部志望のAさんの場合
数学がとても苦手な彼女には、まず夏期の前半・中盤は数学の基礎固めと得意な英語をさらに磨くことを最優先した方が良いとカウンセリングで提案しました。そして、満を持して8月20日以降に「一橋大学の日本史」に向けた夏期集中講座(全5回)を設定しました。一橋で頻出するテーマを「吉田の板書」とオリジナルテキスト(一橋大のための論述お作法を知る)を駆使した講座が彼女には余程合ったいて手ごたえを掴んだようで追加講座も行うことになりました。結果、11月の一橋のオープン模試や実戦模試でも高得点を取るに至り、受験本番では数学が大問1題しか解けなかったにも関わらず、日本史をすべて完答するパフォーマンスを発揮して見事、社会学部に合格してくれました。

早稲田大学文学部・文化構想学部合格をめざすBさんの場合
彼女は、英語はそこそこ出来て国語が得意なタイプで日本史について苦手意識がとても強かったので「お試し講座」(30分)を延長して本気の「流れをつかむ板書」講義を展開したところ「目から鱗」的な感動と手ごたえを掴んでくれたようです。
そのため夏期は、各時代の政治史の流れを把握するための板書講義に特化した夏期講習を受講したところ秋以降の模試では、どんどん点数を上げて行ってくれました。
河合塾共通テスト模試は8月が34点⇒プレテストでは77点、そして、日本史が苦手な受験生にとっては、とても難しい早稲田大学の日本史でも文学部において76%(自己採点)と凄い成長を見せてくれました。

早稲田大学法学部合格をめざすC君の場合
カウンセリング(打合せ)によって導き出された現状把握の上で、英語はまずまずだけど国語が苦手(とくに早稲田の国語)なので弱点の国語をある程度カバーできるくらいに日本史で得点を稼ぐという合格戦略に則した夏期計画を立てた。
扱う時代は、近現代を中心とした。その理由は、彼の高校の進度では11月や12月にならないと昭和をやらない。しかし、早稲田の法学部は近現代分野からの出題量が多く、この時代の大問は一般的な受験生にとっては手ごわい「早稲田特有の未見史料問題」が頻出する。吉田塾で近現代分野を夏期期間に履修しておけば、11月初めから本格的に始めなければならない早稲田対策の実戦演習にスムーズに入ることが可能となる。このメリット(有効性)を強く意識した夏期講習プランと言えます。

早稲田大学商学部合格をめざすD君の場合
彼は、とにかく早稲田の商学部が断然の第一志望であることがカウンセリングで分かったので「早大商学部の日本史」において最も高い点数をたたき出すことができるようなカリキュラムを一緒に作成して行きました。
早大商学部では、近現代史の中でもとりわけ経済史に強くないとハイスコアを得ることができない大問が頻出します。そのため、短文論述問題対策(詳しい添削指導付き)も含めた「近現代の経済史」中心の夏期講習(全7回)を行いました。この効果もあってか、本番の早大商学部の論述問題(80字)では、完璧な解答文を書くことが出来た!と嬉しい報告がありました。

慶応義塾大学文学部合格をめざすEさんの場合
大問4と大問5で出題される本格的な未見史料問題(史料の読み取り)にもとづく論述問題(100字)がとても自分で対策できる自信がなく途方に暮れていたところ、ネットで検索していたら吉田塾を見つけカウンセリングとお試し講座(史料対策と「論述のお作法」)を受けてくれました。
自分の弱点補強にピッタリ合った講座をいっしょに構築していく吉田塾のスタイルを彼女はとても気に入ってくれたので、「慶応の文学部」の傾向や出題形式の則した①史料の読み取り講座(全2回)と②論述の書き方講座(3回)を設定し夏期集中講座を行いました。これにより、秋以降の志望大学対策の指針が立って安心感が得られたとの感想をもらっています。

慶応大学経済学部が第一志望のF君の場合
論述問題がない私大型の入試問題にはある程度対応できる彼でしたが、カウンセリング(無料)やお試し講座(無料添削)において論述問題が全く解けない(書けない)ばかりか、設問に関係する教科書を読んでから解答文を書いてもらっても大幅に減点される解答文しか書けないことが判明しました。
「今の自分を知ったのです」
よって、「基礎からはじめる論述問題のお作法講座」(慶応大学経済学部の日本史)を受講することになりました。この講座によって論述問題に対応できる教科書の読み込み方法を体得した彼は、秋以降急速に日本史の得点能力を上げて行くことに成功しました。

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