「一生役に立つ」戦略的な思考力を養う日本史の実践道場

早稲田大学 商学部の日本史

2019年2月の商学部の問題をここで分析してみよう。

☆本学部の「傾向と対策」を読む前にまずは、ぜひ早稲田の日本史(全体分析)を読むことをお勧めします。とくに今年は、早稲田においても「共通テスト」元年を意識した問題作成が行われたものが散見されました。この新傾向(新形式)っぽい問題について分析したものを追加しましたので来年の本試験問題につながる可能性が高いです!

2019年2月実施  合計59問
マーク式 50問(正文誤文判定問題27問 語句選択問題23問)
記述式 8問  短文記述 1問(20字)

2018年2月の本試験と比較すると合計59問は変わらず。しかし、正文誤文判定問題が6問増えた一方で、語句選択問題が5問減った。一般の受験生が苦手とする早稲田の正誤判定問題の出来がますます合格を左右するようになったと言える。

また、大問1=古代 大問2=中世 大問3=近世 大問4・5・6が近現代という構成は例年通りであり、近現代分野重視の傾向は一貫している。

 

①商学部の日本史攻略のカギは、早稲田的正文誤文判定問題の克服にある。その中でも、もっとも差がつくのが選択肢5つから「誤っているもの」「正しいもの」を2つ選べという形式である。この「2つ選べ」の正誤判定問題は、2つとも正確に当てないと得点がもらえず0点となるので、しっかり過去問研究して「2つ選べ」の正誤判定問題対策を行なった受験生と対策が甘い受験生との間で大きな差がついてしまう。その典型的な過去問やオリジナル対策問題を公開しているのでこの機会にぜひ解いて体感してほしい。

 

②早稲田の各学部は、学部特性を意識した問題が出題される。商学部の場合は、やはり近現代の経済史(金融史・産業史など)を重視していて、この分野の骨太な大問が繰り返し出題されている。また、定番の短文論述問題も近現代分野の経済関係からの出題が続いていることからも、商学部がいかにこの分野を重視しているかがわかります。よって、近現代の経済史は、万全の対策が必要です。

 

上記の傾向分析にピッタリ合った問題が2019年も出題されています。今ここで解いてみよう! なお、「2つ選べ」の正誤判定問題対策の過去問(大隈重信の史料問題!)は、全体分析のところで公開しています。

2019年2月本試験 大問5のⅠ

次の文章を読んで,下記の設問(A~J)に答えよ。

 

Ⅰ 第一次世界大戦は,危機的な状況にあった日本経済にとっては,まさに「天佑」と称すべき出来事であった。大戦によってヨーロッパ諸国という最大のライバルが一時的にアジア市場から姿を消したため,日本はかつて経験したことのない好景気を謳歌することができたからである。

大戦景気の中で経済社会の変化が加速度的に進み,また国際社会における日本の地位も上昇した。大戦好況は1918年の大戦終了とともに一頓挫したが,翌1919年には大戦期を凌ぐバブル的な好景気が訪れた。

しかし,1920年には株価暴落をきっかけとして戦後恐慌が発生し,恐慌からの回復後もデフレが継続するなど,1920年代の日本経済は強い不況感に覆われ続けていた。

この厳しい状況にさらに追い打ちをかけたのが,関東大震災の発生であった。地震と火災によって二大経済拠点であった東京・横浜が壊滅的な打撃を受けたため,建物や商品など震災の被害総額は60億円以上に達し,GNPの3分の1を超えた。震災に伴う経済的混乱の中で被災地企業も窮地に陥っていた。この危機を救うため,日本銀行は政府と協力して特別な措置をとった。これは確かに健全な企業が震災によって倒産するといった事態を防ぐために必要な対策であった。しかし,皮肉なことに,この特別な措置が1927年の金融恐慌を引き起こす要因となった。

 

問A 下線部イに関連して述べた次の文章の空欄 a ~ c に当てはまる語句の組み合わせとして,正しいものを1つマークせよ。

 

軍拡と a の増大などが貿易収支を圧迫し,その結果生じた b を外債発行による c で補填していたが,外債利払いの増大などを通じて日本の国際収支は危機的な様相を深めていった。

1.a 重工業資材輸入,  b 通貨の増大,  c 資本輸出
2.a 重工業資材輸入,  b 正貨の減少,  c 資本輸入
3.a 綿糸輸入,  b 正貨の減少,  c 資本輸出
4.a 重工業資材輸入,  b 正貨の増大,  c 資本輸入
5.a 綿糸輸入,  b 通貨の減少,  c 資本輸入
正解を表示する2 本問は、「商学部の日本史」をすごく象徴している問題です。正貨の増大や減少、外債発行の意味などは繰り返し出題されており、過去問研究して経済の理解がすすんでいる人にとっては、簡単な問題ですがあなたにとってはどうですか。

問B 下線部ロに関連して述べた文として,誤っているものを1つ選んでマークせよ。

1.戦争景気を謳歌していたアメリカ向けの生糸輸出が大きく増加した。
2.船舶不足の下で海運業が空前の発展をとげ,日本は世界最大の海運国となった。
3.八幡製鉄所が拡張されるとともに,多数の民間鉄鋼企業が設立された。
4.重化学工業が急速に発展したが,工業生産額の過半は軽工業部門が占め続けた。
5.工場労働者数は急増し150万人を超えたが,特に男性労働者の増加が著しかった。
正解を表示する2 大戦景気(1915〜19年)によって日本は世界3位の海運国家となった。

問C 下線部ハに関連して述べた文として,誤っているものを1つ選んでマークせよ。

1.ヨーロッパ諸国の製品が日本市場に復帰し,競争力の弱い重化学工業部門を圧迫した。
2.戦後恐慌では生糸価格が暴落し,製糸業者に大きな打撃を与えた。
3.日本労働総同盟は労資協調から階級闘争へと路線を転換しつつ労働運動を指導した。
4.国際的に割高な物価の下で貿易収支の赤字が続いた。
5.不況下でも工業生産額が増加し続けた結果,農業生産額を上回るようになった。
正解を表示する5 工業生産額が農業生産額を上回るのは大戦景気期である。

問D 下線部ニに関連して述べた文として,誤っているものを1つ選んでマークせよ。

1.地震をきっかけとする混乱に対して第二次山本内閣は戒厳令を公布した。
2.「暴動を起こした」などの流言が飛び交い,多くの朝鮮人が殺害された。
3.日銀は震災で決済不能となった手形を売却し,被災地企業を救済しようと試みた。
4.憲兵によって大杉栄らが殺され,無政府主義運動は大打撃を受けた。
5.震災による経済的混乱を緩和するためにモラトリアムが発令された。
正解を表示する3 震災手形を日銀が売却したのではなく、市中銀行が持っていた手形を再割引した。

問E 下線部ホに関連して述べた文として,誤っているものを1つ選んでマークせよ。

1.金融恐慌を経ても中小銀行の整理は進まず,信用不安が残り続けた。
2.若槻内閣は台湾銀行を救済しようとしたが,枢密院の同意が得られず,失敗した。
3.取り付け騒ぎに耐えられず,休業に追い込まれる銀行が続出した。
4.金融恐慌の過程で経営の安定した5大銀行に預金が集中するようになった。
5.議会での片岡大蔵大臣の失言をきっかけとして銀行への取り付け騒動が起こった。
正解を表示する1 金融恐慌によって中小銀行の倒産や整理合併が進んで財閥系の五大銀行に預金は集中していった。

☆塾長吉田の視点

問Aのような形式の問題は、経済の仕組みが理解できてないと解けない問題ですが、このような問題こそが「商学部の日本史特性」をあらわしている問題と言えます。
2018年も同形式の経済の問題が複数個出題れていますのでその一部を解いてみよう。

2018年 商学部

問E 下線部ホ(明治の銀本位制期)に関連して述べた次の文章の d ~ f に該当する語句の組み合わせとして,正しいものを1つマークせよ。

銀本位制には為替相場の d により金本位国との間で e が期待される点などにメリットがあり,また金本位制には f が容易になるなどのメリットが想定された。

1.d 低落(円安), e 輸出伸張, f 中国などアジア諸国への資本輸出
2.d 上昇(円高), e 輸入増進, f 先進諸国からの資本輸入
3.d 低落(円安), e 輸入増進, f 先進諸国からの資本輸入
4.d 低落(円安), e 輸出伸張, f 先進諸国からの資本輸入
5.d 上昇(円高), e 輸入増進, f 中国などアジア諸国への資本輸出
正解を表示する 銀本位制・金本位制それぞれのメリット・デメリットを説明させる問題は早大商学部の定番である。しっかり、説明できる人になろう!

このような問題は、早大商学部からの問いかけ(ラブコール)であると認識してほしい。

早大商学部には、このような問題を理解して答えることができる人材こそ来てほしいと思っているのです。ですから、早大商学部が第一志望(準第一志望まで)の受験生なら、この商学部の呼びかけに真正面から堂々と答えることができる対策を立ててほしいと吉田は思っています。

吉田塾では、早稲田の商学部特性に対応した「同じ形式の過去問」を効率的に編集したテキストや「吉田のオリジナル対策問題」を利用して経済が苦手な人でも分かりやすい丁寧な説明付きの特別講座を行うことが可能です。

さあ、次は短文論述問題を含む問題を解いてみよう!

2019年2月本試験 大問6

次の文章を読んで,下記の設問(A~I)に答えよ。

第二次世界大戦後,連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)のマッカーサーは,当時の内閣に対し,女性参政権,労働組合の結成,教育制度改革,秘密警察などの廃止,経済機構の民主化のいわゆる五大改革を指示した。これらに関連して,以下では,財閥解体,農地改革及び労働改革について詳しく見てみよう。

GHQは,家族・持株会社・ a 企業という垂直的な構造で組織された財閥が,非民主的で軍国主義の温床になっていると認識した。これを受け,財閥本社の解体とともに,財閥本社や財閥家族が保有する a 企業の株式が持株会社整理委員会に強制的に譲渡された。まず,1945年11月に三井,三菱,住友,安田など15大財閥の資産凍結・解体が始まり,翌年8月には持株会社整理委員会が発足し,株式の強制譲渡の対象企業が指定された。当初,純粋な持株会社(10大財閥)のみが想定されていたが,1946年に実施された財閥に関する調査の結果を受け,最終的には83社が指定された。持株会社整理委員会に譲渡された株式は,従業員や工場周辺の住民などに売却され,個人株主が増加した。また,1947年1月には b 追放の一環として財界追放が行われ,約2000人の経営者が役職を追われた。同年4月には,いわゆる独占禁止法によって持株会社,カルテル,トラストなどが禁止され,12月には過度経済力集中排除法が公布されて巨大企業の分割が行われた。しかし,過度経済力集中排除法によって分割の対象となった325社のうち,実際に分割されたのは一部の製造業にとどまり,財閥系銀行などは適用を除外された。それでも,この過程で日本製鉄,三菱重工業,王子製紙,大日本麦酒などの巨大企業が分割された。

農地改革は, c 地主制を除去し,安定した自作農経営を創出するために実施された。すでに1938年の農地調整法などによって,小作人の賃借権の強化,小作料の統制などが進んでいたが,1945年,当時の内閣は第一次農地改革案(農地調整法の改正)を自主的に決定した。しかし地主制解体が不徹底であったため,GHQが第一次農地改革案を拒否し,GHQの勧告に基づいた改正農地調整法と自作農創設特別措置法が1946年に公布された(第二次農地改革)。第二次農地改革では,次のようなことが決められた。① d 地主の全貸付地と在村地主の貸付地で,保有限度を超える部分を国が強制的に買い上げ,小作人に売却する。②残存小作地の小作料を金納化し,小作料の高騰を防ぐために最高小作料を設ける。③農地の買収・譲渡の実務にあたる市町村農地委員会を公選制とし,委員構成を地主3,自作農2,小作農5とする。農地改革は,この3点を柱として1950年まで実施され,1938年には約47%だった小作地は,1949年には13%へと大幅に減少し,戦後の新たな農業生産の基盤となった

GHQの労働改革は,        e        して対外侵略の基盤を除去するという観点から,労働基本権の確立と労働組合の結成を中心として進められた。まず,労働組合法が制定され,労働三権(団結権・団体交渉権・争議権)が保障された。その後,労働関係調整法,労働基準法が制定され,戦前には無権利状態だった労働者の地位が労働三法によって保護された。また,日本社会党の結成や日本共産党の再建などを契機として労働組合の全国組織も相次いで結成されるなど,戦後の労働政策の基盤が整備された

問A 空欄aに該当する語句を,記述解答用紙の解答欄に漢字2字で記せ。
正解を表示する傘下 傘下(企業)という言葉は、経済ではよく使う言葉である。経済に明るい人なら、すっと入る言葉だが、そうでない人にとっては難しいだろう。

問B 空欄bに該当する語句を,記述解答用紙の解答欄に漢字2字で記せ。
正解を表示する公職(追放)

問C 空欄cに該当する語句を,記述解答用紙の解答欄に漢字2字で記せ。
正解を表示する寄生(地主制) 寄生地主制は、地租改正や松方財政とからめた短文論述問題として定番のテーマである。

問D 空欄dに該当する語句を,記述解答用紙の解答欄に漢字2字で記せ。
正解を表示する不在(地主)

問E 下線部イについて,15大財閥に入らないものを1つマークせよ。

1.古河
2.大倉
3.中島
4.浅野
5.鴻池
正解を表示する5

問F 下線部ロについて,第二次農地改革における貸付地の保有限度として,正しいものを1つマークせよ。

1.北海道で4町歩,都府県平均で1町歩
2.北海道で5町歩,都府県平均で1町歩
3.北海道で6町歩,都府県平均で1町歩
4.北海道で8町歩,都府県平均で2町歩
5.北海道で10町歩,都府県平均で2町歩
正解を表示する1

問G 下線部ハについて,一連の農地改革に関する記述として,誤っているものを1つマークせよ。

1.山林地主は対象とはならなかった。
2.自作農創設特別措置法は,1952年の農地法施行によって廃止された。
3.1946年に再結成した日本農民組合は,派閥対立により分裂し,1947年には全国農民組合が結成された。
4.多数の自作農のため,1947年に農業協同組合法が制定された。
5.第二次農地改革当時の内閣は,幣原喜重郎内閣である。
正解を表示する5 第二次農地改革は、1947年に制定された自作農創設特別措置法によって進められた。幣原喜重郎内閣は1946年4月の初の男女普通選挙で過半数を得られず、すでに退陣している。

問H 空欄eについて,歴史的な背景から適切な文として考えられることを,記述解答用紙の解答欄に20字以内で記せ。なお,句読点も1字として数えよ。
正解を表示する低賃金構造にもとづく国内市場の狭さを解消(20字) 本問は、山川出版の詳説日本史Bの一文を解答としているのが強く推定される。そのため、その一文をあえて解答として採用した。

問I 下線部ニに関する記述として,誤っているものを1つマークせよ。

1.労働組合法は,日本国憲法の公布後に制定された。
2.労働関係調整法は,争議調整方法や争議行為の制限などを規定した。
3.労働基準法によって,1日8時間・週48時間労働が規定された。
4.1947年に労働省が設置され,外局として中央労働委員会などが置かれた。
5.1946年に労働組合の全国組織である,日本労働組合総同盟と全日本産業別労働組合会議が結成された。
正解を表示する1 労働組合法は1945年12月の制定。日本国憲法は1946年11月3日(現文化の日)に公布(制定)され、翌47年5月3日(現憲法記念日)に施行された。

☆塾長吉田の視点

問Aの解答である傘下(企業)という用語は市販されている一問一答式の問題集では対応できないが、このような用語を記述させる問題を商学部は、毎年出題している。さらに問Cのような短文論述問題が必ず出題される。出題の範囲は、近現代の経済史・産業史・金融関係史にほぼ限定されいることからも、商学部からの強い問いかけ(ラブコール)だと受験生は認識してほしいところです。このような問題に対して、真正面で答えることができる人材に早大商学部は来てほしいと思っているのです。

吉田塾では、上記のような商学部特性の問題が苦手な受験生に対して「近現代の経済史」(商学部対策)講座を開講しています。商学部特性が強い過去問を効率的に編集したテキストや吉田オリジナル対策問題を利用して、経済が苦手な人に対しては「経済が分かる板書」を駆使し、じっくり丁寧に説明する講座となっています。本講座は限定されたテーマ史講座のため、受講生にとって経済的な負担が少ないコースを設定することも可能です。

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※早大商学部対応 短文論述問題の添削例

 

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