立命館大の日本史(傾向と対策:過去問研究編)
「立命館大の日本史」は、受験業界では昔から受験生にとって「難問」と感じられる問題が毎年多数出題されることで有名である。しかし、受験生を苦しめる難問と呼ばれる問題も腰を据えた過去問研究をすれば、立命館大学がくり返し出題している時代やテーマに集中していることがわかります。そのような、20年以上前から立命館が好きな「時代やテーマ」が令和の時代になっても相変わらず出題されている。
この傾向を顕著に示す大問を今年(2022年)は順次公開(三問以上)して行きますので、まだ本格的に受験対策してない人も「立命館の日本史」を実感するためにぜひ参考にしてください。大学受験の合格戦略の中で最重要なのはまず「敵を知り、己を知る」ことです。
その第一弾の問題として(明治の経済史=資本主義発達史)を取り上げました。
明治時代の履修を終えている人は、ぜひ解いて「立命館の日本史」を実感して下さい。
〔1〕 明治時代の近代産業育成は,当初は政府による積極的な資本投下により,①多数の官営工場や官営鉱山を設置して進められたため,「上からの近代化」と評された。 A 年に創設された工部省は,多数の御雇い外国人を招聘(へい)し,日本近代工業の育成官庁として機能した。その所管には,アジア最大の規模を誇り,1887年に三菱に払い下げられた B 造船所や,1873年に官営となり,1888年に佐々木八郎(三井)に払い下げられた C 炭鉱などがあった。
一方,1873年に大久保利通の建議により創設された D 省も,近代産業育成に尽力した。1877年には東京の上野公園で第1回の E を開催し,優れた機械や美術工芸品を展示・即売した。②この催しは,第5回まで開催されている。また,③多数の官営模範工場を設立・所管して近代技術の導入に努めた。
北海道経営のために設立された開拓使も,近代産業育成に努力した。特に,農業の近代化を進めるため,1876年に札幌農学校を設立し,教頭としてアメリカ人教育者の F を招聘した。
A=1870年 初代工部卿は伊藤博文。なお、大久保利通(初代内務卿)の肝いりで内務省が創設されたのは1873年
(a) 下線部①に関連して,以下の鉱山のうち,古河市兵衛に払い下げられたものはどれか。もっとも適切なものを下から一つ選び,記号で答えよ。
(あ) 院内銀山
(い) 佐渡金山
(う) 別子銅山
(え) 生野銀山
正解は(あ)=院内銀山(秋田)は阿仁銅山(秋田)とともに古川市兵衛に払い下げられた。
(b) 下線部②に関連して,この催しの第4回はどこの都市で開催されたか。もっとも適切なものを下から一つ選び,記号で答えよ。
(あ) 大阪
(い) 東京
(う) 名古屋
(え) 京都
正解は(え) 難問である。第1~3回東京上野、第4回京都、第5回大阪
(c) 下線部③に関連して,1879年に設立された官営模範工場であり,軍服材料であるラシャの製造にあたった工場はどこか。もっとも適切なものを下から一つ選び,記号で答えよ。
(あ) 富岡製糸場
(い) 千住製絨所
(う) 新町紡績所
(え) 島津製作所
正解は(い)=ラシャは毛織物の一種。やや難 富岡製糸場では生糸、新町紡績所ではを製造。
〔2〕 日本の民間産業の多くは,明治新政府により特別の保護を与えられ,新しい事業を開拓して,独占的に利益を得た④政商と呼ばれる人々によって担われた。
その1つ三菱は,当初,船会社であり,初代当主 G が政府より日本の沿岸航路の権利を独占的に与えられて急成長した。⑤新政府による初の海外派兵となった H 年の台湾出兵では,兵員の輸送を委託され,大きな利益を上げた。しかし,三菱を庇護してきた大蔵卿 I が1881年に下野すると,一転して政府に敵視されるようになる。1882年には三菱のライバル会社として J 会社が設立され,激しい競争を強いられた。結果的に1885年に⑥両社は合併して日本郵船会社が誕生した。 B 造船所の獲得をきっかけに,三菱はその主力産業を重工業に転じ,のち巨大財閥を形成するに至った。
同じく政商の1つである三井は,いち早く新政府を支持し,政府による厚い保護を得た。1876年には,⑦のちに三井財閥の中核となる三井銀行と三井物産を設立,両社はそれぞれ金融・商業の中核となった。とくに1888年に払い下げを受ける C 炭鉱の出炭を,官営時代から販売委託され,東アジアから東南アジア方面に売りさばいて大きな利益を上げた。これにともない,三井物産は上海支店を皮切りにアジア各地に支店網を張り巡らし,それが「商業の三井」を支える大きな役割を担った。
また,薩摩出身の政商 K は,維新の戦乱とたび重なる新政府からの資金徴発により荒廃した大阪財界の立て直しを行った。しかし彼の経営する L 社が,1881年に同じ薩摩の M が長官を務める開拓使より,その官有物の大部分を格安で払い受ける計画が報道により明るみに出て,世間の大きな非難を買うこととなった。
H=1874(年) 立命館の本試験では出題ミスだった問題を標準的な問題に改題した。とにかく、立命館では重要年代を書かせるので年代暗記は必須だ。
I=大隈重信 開拓使官有物払下げ事件により大隈は下野した(明治14年の政変)
(d) 下線部④に関連して,大蔵省に出仕した政商の一人で第一国立銀行,大阪紡績会社などを創設し,教育・社会事業にも尽力した人物は誰か。
正解は渋沢栄一=新一万円札の肖像に決定した人物であり、予想通りに出題された
(e) 下線部⑤に関連して,この出兵の指揮をとり,のち陸海軍の創設に尽力した人物は誰か。もっとも適切な人物を下から一人選び,記号で答えよ。
(あ) 山県有朋
(い) 谷干城
(う) 西郷従道
(え) 大村益次郎
正解はう
(f) 下線部⑥に関連して,日本郵船会社はそののち欧米豪の三大航路を開発するなど大きな発展を遂げた。1909年に制定され,欧米豪の3路線に限定して,大型客船の就航を促した法律は何か。もっとも適切なものを下から一つ選び,記号で答えよ。
(あ) 造船奨励法
(い) 航海奨励法
(う) 船鉄交換協定
(え) 遠洋航路補助法
正解はえ 難問
(g) 下線部⑦に関連して,1909年に三井財閥の本社として設立され,物産,銀行の全株式を保有した会社を三井 ㋐ 全社という。空欄㋐にあてはまる,もっとも適切な語句を答えよ。
正解は(三井)合名(会社) なお、三菱の持株会社は三菱合資会社という。
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政治史を軸として文化史を理解するという考えに目から鱗でした。文化史単体だとどうしても暗記がしにくく困っていたのですが、面白いエピソードを思い返しながら、先輩の絵と共にもう一度復習し直すとすんなり覚えることができ感動しました!乾漆像についての時短裏技も他の教科や時代に時間をかけたかったので非常に助かりました。また、年号の重要さを身にしみて感じました。文化史と並行して復習していこうと思います。
文化史を習得するために必要なことについてよく理解してくれている感想文だと思います。
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