「一生役に立つ」戦略的な思考力を養う日本史・世界史の実践道場

京都府立大学文学部の傾向と対策

京都府立大学文学部の日本史は、歴史学科以外(日本・中国文/欧米言語文化/和食文化)の学科で大問3題、歴史学科では大問4題が設定されていますが、大問3までは共通問題となっています。

大問1が記述式の問題(小問20個程度)が出題される。大問2が史料問題(小問20個程度)の問題が出題されます。その出題例を以下に掲載していますので今ここで確認しておこう。「百聞は一見に如かず」である。

2023年の大問1(クリックして展開)
2023年の大問1

つぎの文章(A)(E)を読んで,問1~問20に答えよ。

(A) 武家の都,鎌倉は三方を丘陵に囲まれ,南は海にのぞむ要害の地である。源頼信が( ア )を平定して関東へと進出して以降,源氏は東国との関係を深めた。源頼義は前九年の役で陸奥国の土豪( イ )氏を滅ぼしたあと,鎌倉に館を得て都から八幡宮を勧請し,のち義家がこれを修復している。義家の曽孫にあたる義朝は鎌倉の館に居住し,周辺地域の武士を支配下に収めたが,( ウ )に敗れて謀殺された。その子頼朝は捕らえられ,伊豆に流刑となったが,1180(治承4)年に挙兵すると,鎌倉に入り幕府を開いた。頼朝は京都や(a)奥州平泉を模倣し街路を整え,御家人の邸宅を御所の周辺に配した。承久の乱に勝利した北条氏は,鎌倉の出入口に切通を開いたり,港湾機能を拡充するなど流通基盤を整備し,また(b)禅宗を重んじて中国から禅僧を招き,鎌倉郊外に大寺を建立した

 

1 ( ア )に入る適切な事件名を記せ。
正解を表示する前九年合戦

2 ( イ )に入る適切な語句を記せ。
正解を表示する安倍

3 ( ウ )に入る適切な事件名を記せ。
正解を表示する平治の乱

4 下線部(a)について,奥州藤原氏三代の遺体を安置した阿弥陀堂は何か,記せ。
正解を表示する中尊寺金色堂

5 下線部(b)について,北条時頼の帰依を受け,建長寺開山となった人物は誰か,記せ。
正解を表示する蘭渓道隆

 

(E) 19361月に実施された総選挙では,国民生活の負担を背景に社会大衆党などの無産政党が議席を獲得した。このような状況下で,( ス )の思想的影響を受け国家改造を掲げ皇道派と呼ばれた陸軍の一部が二・二六事件を起こしたが失敗し,その勢力は一掃され,代わりに( セ )と呼ばれるグループが軍の実権を握った。この事件後の広田弘毅内閣は( ソ )を復活させた。これにより軍部は組閣に非協力的な態度を取って揺さぶりをかけるなど,一層政治に干渉する権限を持つことになった。

 

18 ( ス )に入る適切な人名を記せ。
正解を表示する北一輝

19 ( セ )に入る適切な語句を記せ。
正解を表示する統制派

20 ( ソ )に入る適切な語句を記せ。
正解を表示する軍部大臣現役武官制

大問1は、標準的な問題が大半を占めるので高得点での争いとなる。

 

2023年の大問2(クリックして展開)
2023年の大問2

つぎの史料(A)(E)を読んで,問1~問18に答えよ。なお,史料は一部書き改めたところがある。

(A) 常陸国に大櫛(おおくし)の岡という所あり。( ア )にいわく,上古に人有り,体は極めて長大なり。身は丘壟(おか)の上に居ながら,手は海浜の(はまぐり)を(くじ)る*1(a)其の食らう所の貝,積聚(つも)りて岡と成る。(b)其の(ふみ)跡の長さは三十余歩*2,広さは二十余歩。

(『塵袋』第五)

1 摎(くじ)る……ほじくる。                                    *2 歩……長さの単位。1歩=約1.8m。

 

1 ( ア )には,8世紀に編纂され,諸国の産物や地名の由来を伝える書物名が入る。適切な書物名を記せ。
正解を表示する風土記

2 下線部(a)について,この伝承は縄文時代に列島各地で形成されたある種の遺跡の由来を語っている。このような遺跡を総じて何と呼ぶか,記せ。
正解を表示する貝塚

3 下線部(b)について,このような巨人の存在が想像されたのは,大櫛の岡と海浜とが数kmも離れていることを当時の人々が不思議に思ったためであると考えられる。この不思議は,縄文時代に発生し,漁労の発達を促した,ある現象から説明することも可能である。どのような現象か,具体的に記せ。
正解を表示する縄文海進を説明すればよい

(B) 夫れ,(c)兵士の設けは非常に備うるなり。しかれども国司・軍毅(ぐんき)*1,理にあらず*2して役使す。(いたずら)に公家*3(つい)えを致し,還りて姧吏(かんり)*4の資と為す。静してこれを言うに,弊たること(まこと)に深し。宜しく京畿及び七道諸国は並びに停廃に従い,以て労役を省くべし。但し陸奥・( イ )・(d)佐渡等の国及び(e)大宰府は,地これ(f)辺要*5にして備え無かるべからず。所有の兵士,宜しく旧により置くべし。

(『類聚三代格』巻18 792(延暦11)67日勅)

 

(C) 今,諸国の兵士,辺要の地を除くのほか,皆,停廃に従いたり。其れ兵庫*6・鈴蔵及び国府等の類は,宜しく( ウ )を差し*7,以て守衛に充てよ。宜しく( エ )の子弟より簡(えら)び差し,番を作りて*8守らしむべし。

(『類聚三代格』巻18 792(延暦11)614日太政官符)

 

1 軍毅……軍団を統括する役職。

2 理にあらず……理由などが不当であること。

3 公家……朝廷。                                           4 姧吏……邪な役人。

5 辺要……国家の支配が及びにくい辺境の軍事的要地。

6 兵庫……武器庫。                                       7 差す……指名して用務に就かせる。

8 番を作る……交替の体制を組む。

 

4 ( イ )に入る適切な国名を記せ。
正解を表示する出羽

5 ( ウ )に入る適切な語句を記せ。
正解を表示する健児

6 ( エ )に入る適切な官職を記せ。
正解を表示する郡司

7 下線部(c)について,彼らの一部が都の宮城に配属された場合は何と呼ばれるか,記せ。
正解を表示する衛士

8 下線部(d)及び(e)について,これらは当時の行政区画上,どこに所在したか。次の①~⑦からそれぞれ一つ選び,番号を記せ。

① 東海道               ② 東山道               ③ 北陸道               ④ 山陰道

⑤ 山陽道               ⑥ 南海道               ⑦ 西海道
正解を表示する(d)=③  (e)=⑦

9 下線部(f)について,当時こう呼ばれた地域の中には,780(宝亀11)年から30年以上にわたって争乱が相次いだ地域があるが,この争乱の発端となった反乱の首謀者は誰か,記せ。
正解を表示する伊治呰麻呂

10 史料(B)で軍団兵士が廃止された背景として,兵士の弱体化以外にどのような事情があったか,史料に即して簡潔に記せ。
正解を表示する教科書を読み込んでると唐の衰退などを廃止されたことを背景、事情で書きたくなるであろうが本問は、史料に即して簡潔に述べる必要がある。史料の即せば、「国司や軍団長が、私的に兵士を使役する悪弊がはびこっていた」点が解答のポイントとなる。

大問2は、史料問題が古代~近現代までズラリと並んでいる。史料の穴埋め問題は、史料問題対策を怠った受験生だと苦戦するレベルの問題もけっこう出題されるので史料対策は必須だ。また、史料文の読み取りが出来ているかを問う短文論述問題も出題され配点も高いので腰を据えた史料問題対策がのぞまれます。

 

2024年の大問3(大問4)

指定語句付きの本格的な論述問題が3題提示されています。

歴史学科以外(日本・中国文/欧米言語文化/和食文化)学科は、3題中1題を選択することになっています。歴史学科では3題中2題選択となっています。配点も高いので論述問題の出来が合格を左右する場合があります。その出題例を以下に掲載していますので今ここで確認しておこう。「百聞は一見に如かず」である。

2024年の大問3(大問4)
  

つぎの(A)(B)(C)より1題を選択して解答せよ。解答用紙には選択した問題記号を明記すること。(配点70点)

 

(A) 飛鳥時代から平安時代にかけて実施された学問振興による人材の養成とその登用について論述せよ。なお、論述するにあたっては、下の語句をすべて使用し、使用された箇所には下線を引いておくこと。

 

乙巳の変  勧学院  国学  南渕請安  文章経国思想

 

(B) 近世の村の特徴について論述せよ。なお、論述するにあたっては、下の語句をすべて使用し、使用した箇所には下線を引いておくこと。

 

刈敷  兵農分離  水呑百姓  村方三役  村八分  結・もやい

 

 

(C) 1960年代から70年代前半にかけての日本の外交問題について論述せよ。なお、論述するにあたっては、下の語句をすべて使用し、使用された箇所には下線を引いておくこと。

 

沖縄返還  ニクソン  日韓基本条約  日中共同声明  ベトナム戦争

 

☆吉田の視点

京都府立大の論述問題は、「あるテーマ〜」について「論述せよ。その際に以下の語句をすべて使用しなさい」という形式が定番化している。とくに「あるテーマ〜」について、「ある時代からある時代までの過程や変遷を論述せよ」または、「あるテーマ〜」についての「「特徴」を論述せよ」の2パターンが多い。2024年もこの傾向通りに(A)・(C)の問題が過程や変遷を論述させ、(B)の問題で「特徴」について論述させていた。

吉田塾では、上記のような「京都府立大の長文論述問題」に対応したオリジナルテキストを作成して、オリジナル対策問題(京都府立大の傾向にピッタリ合った予想問題)を提供し、添削指導を行う講座を開講しています。その一部は、カウンセリング(無料)やお試し講座(1対1のZOOM講座)においても提供可能です。

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